木下尚子司法書士事務所 木下尚子 司法書士事務所

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お知らせ

2025.09.13

後見日常活動のご報告相続

「すべての遺産を特定の相続人に相続させる」という遺言

武蔵小杉の司法書士 木下尚子です。

 

 

前回の投稿で、特定財産承継遺言に基づき、遺言執行者からの登記申請が可能になったことについて触れました。

 

 

では、「全ての遺産を特定の相続人に相続させる」という遺言がなされている場合に、果たして遺言執行者から登記申請ができるのでしょうか。

 

 

このような遺言は包括遺贈にあたり、遺言執行者による特段の執行行為を必要としないため、遺言執行者からの登記申請をすることはできないのではないか…と当初は考えたのですが、下記のような判例がありました。

 

 

判例によると、「全ての遺産を特定の相続人に相続させる」という遺言も、「特定の遺産を特定の相続人に相続させる」という遺言と同様に、これを全部包括遺贈ではなく、遺産分割方法の指定であるとみる理解を基礎に据えたうえで、その中に相続分の指定(「特定の相続人」の相続分を100%とする指定)が含まれるという考え方を採用している(最判平21.3.24民集63-3-427)そうで、2018年に改正された民法も、この理解を基礎に据えているということです(引用:潮見佳男『詳解相続法第2版』弘文堂 364頁)。

 

 

そこで、先述のような遺言がなされている場合でも、相続人からの委任状の代わりに遺言執行者からの委任状で登記申請は可能だろうということで登記申請し、無事完了いたしました。

 

後見のお話しを少し…

 

 

後見の登記事項証明書をオンラインで取得したり、被後見人の方の住所変更登記をオンラインで申請するために、カードリーダーを購入しました。

 

 

私の場合、後見人として登記されている住所は、自宅住所です。

 

 

オンライン申請の際にはデータに電子署名が必要になるのですが、司法書士が普段の不動産登記や商業登記申請に使用している電子証明書は後見では使用ができないそうで(自宅や事務所の住所情報は入っていないから、ということらしいです)、今回マイナンバーカードでデータに電子署名をする必要があり、カードリーダーを購入することになったのです。

 

 

今までは、後見の登記事項証明書を取得するためには、馬車道駅にある横浜地方法務局か、九段下にある東京法務局に直接出向く、または東京法務局に郵送で申請する必要がありました。

 

 

不動産や会社の登記事項証明書のように、どこの法務局でも取得ができるというわけではないのです。そして1通取得するのに、出向いても郵送でも550円がかかります(郵送の場合には往復の切手代も)。

 

 

それがオンラインで請求をすると、1通380円×必要通数分の料金を電子納付するだけで済み、あとは法務局から登記事項証明書が送付されてくるのを待てばよく、こちらから返信用封筒を送付する必要もありません。

 

 

登記事項証明書を取得する際の費用は後見事務費として被後見人の方の財産の中から支出をするので、少しでも安く取得が出来るととてもありがたいです^^

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