2024.10.07
相続会議体験会
少し前の話しになりますが、知人を通じて「相続会議体験会」というものに参加をさせていただきました。
父親が亡くなった場面を想定し、参加者それぞれに相続人の役割が与えられます。
相続人は妻と長男、長女、次女の4人という設定で、私には長女役が与えられました。
それぞれの相続人の背景(父から贈与を受けている、今後母の面倒を見ていく、離婚をして実家に戻っている)やそれぞれのキャラクターなども細かく設定されていて、その役になりきってみんなで実際に相続会議をしてみよう、というものです。
今まで何度も仕事として遺産分割協議書の作成に携わってきましたが、実際に自分が相続人になって遺産分割の協議をしたことはなかったため、相続人の全員が納得する形で円満に協議を成立させることの難しさを仮にでも体験できたのは非常に勉強になりました。
揉めに揉めた遺産分割協議でしたが、最終的には父の遺言書が見つかったということで、それが読み上げられました。
父の遺言書によって財産の行き先が定められ、内心不満に思っていた相続人もいるのかもしれませんが、父の気持ちを汲んで無事相続会議は終了となりました。
しかしここからが自分でもとても驚いたのですが…
遺言書には、自分の死後に自分の財産を誰にどれだけ譲りたいかについて記載しますが、それに加えて「付言事項」というものを書くことができます。「付言事項」は、どうしてこのような財産の分配割合に決めたのかということや、今までの感謝の気持ち、これからの希望などのメッセージを伝えるための手紙のようなものです。
父の遺言書にはそのような長いメッセージが書いてあり、それが読み上げられた途端に相続人役の全員、涙、涙…でした。大げさではなく(私自身全く涙もろいわけではありません)不思議と涙が止まりませんでした。
付言事項に法的な効力はありません。しかし財産の分け方だけを書いた遺言書では、どのような想いでこのような遺言書を遺し、遺された人々に何を望んだのかをうかがい知ることはできません。
遺された人々のトラブルを避け、気持ちよく相続の手続きができるようにするためにも、今後遺言書の作成に携わる際には、付言事項を書くことも積極的にご提案していきたいと思いました。
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税務相談は、税理士や税理士法人の独占業務ですので、司法書士がすることはできません。
ただ、一般的な質問(例えば相続税の申告期限、小規模宅地の特例や不動産を売却したときにかかる譲渡所得の3,000万円控除など)にはやはりお答えできるようにしておかなくてはなりません。
この本は司法書士、行政書士向けに書かれており、実際に今までお客様から何度もご質問をいただいた内容が網羅されていますので、同業の方におすすめです。